2015年11月13日金曜日

Elise Sport and Sport 220

Lotus Elise Sport et Sport 220

ロータスは頑張っている。  他に類を見ないクルマ造りに。  特に Elise 以降。

独創的なフレームをベースにすることについては、96年のシリーズ1 の登場以来変わらない。
世界に スポーツ・カーと呼ばれるクルマは 数多(あまた)存在する中で、この性能、この雰囲気、
シート・ポジションの低さ、そして何よりも 誰にもマネ出来ないその挙動は卓越している。

もともと 50年代末にキットカーとしてスタートしたその歴史は、クルマ好きが草レースを楽しむ
為のモノとして始まり、やがてロータスは独自の進化を遂げていく。

創業者チャプマンが考え抜いたライト・ウェイトの真髄を基に、小さくて軽いその車体に、
何でもない乗用車のエンジンを軽くチューニングして、素人がサンデーレースを楽しむクルマが
出来上がった。 やがて 彼の比類ないセンスで、当時からあまた発生した多くのキットカーとは
一線を画した独創性をもって、今日の礎を築いていった。 それは F1 にまで到達する。

しかし チャプマンの死後、もしくはそれに前後して、会社の経営は紆余曲折して現在に至る。
そんな中、昨年春からの新任の社長 Jean-Marc Gales は、会社再生のために諸策を講じた。
ムダを極力省いて、今ある持駒を最大限に活用し、取りあえずの売り上げ向上のために
世界中でデーラーを増設した。  そして、今回はエリーゼをアップ・グレード。

しかし、多くを変えたワケではない。
今ある持駒の魅力をアップさせるために、幾つかの変更を施した。 馬力は ほぼそのまま。
内外装を少しでも魅力的に見せる様にアップグレード。

オプションだが、かってのエスプリ S1 でやった様なタータンチェックのトリムも復活させる。
更に スロットル・レスポンスとトラクションを向上、シャープなハンドリングを確保している。
やはり この辺はロータスの肝(キモ)だから、Gales は その辺のことも判っている。

Lotus Elise Sport

但し、どうしても超えてはいけない一線を 今のロータスは超えてしまった。
少しでも多くの売り上げを得ようと 万人受けを狙った為に、また しっかりした質感を出す為に、
かってのロータスには無い 分厚い内装と より強固なボディーを目指した結果、
エリーゼに関しても、初期の S1 より遥かに重い900kg を超える車重に甘んじている。
S1 は、600Kg 台だった。 しかも 当時の馬力は 120馬力程度だ。
でも、面白かった。  今でも普段の足に、当時の S1 を欲しいくらいである。

誰だって馬力を出せば、速く走る事は出来る。
馬力には関係ない "止まる、曲がる" についても、足回りを強化すれば 何とかなる。
しかし、ロータスのハンドリングと加速の "質感" は大きく変わってしまった。
つまり、かってのライトウェイトの質感は亡くなってしまったのだ。
勿論、どちらを好むかはユーザーの意志による。 どれも正しい選択かも知れない。

もう一つの大きな変化は、車輛価格の "高騰" である。
大ざっぱに判りやすく言うと、200Kg 重くなって 200万円高くなってしまった。
結果、おそらく これを買い求めるユーザーの "質感" も変化しているものと想われる。
ちなみに オプション別の車輛本体で、今回の "Elise Sport" は 約600万円(£29,900-)、
"Sport 220" では 700万円(£36,500 -)を超える。


最終的に、ロータスは 会社の方向性として、上記の様な内容へ転換していくことを選択した
という事だろう。 多くの場合、会社が大きくなるにつれ、その売り上増と自身の継続的な維持
の為に、初期のポリシーを失っていくのは ある種 仕方のない事かも知れない。
これも 世の流れであろう。  だから、ロータスが間違った選択をしたわけでも何でもない。

返す返えす、どちらを選択するかは、それを求めるユーザーの意志による。
でも ウチとしては、よりコアな方向を求めてやまない。
もちろんウチも商売だから、ロータスを売ることもあるだろう。 それは簡単な事だ。

実は コアなクルマを用意し、販売していくことは そう簡単なことではない。
かなりの手間ヒマをかけない限り、日本国内でリリースするのは容易ではない。
しかも、これらのクルマを求めるユーザーも、ある程度の "覚悟" は必要かも知れない。
でも コアなユーザーがいる以上、ウチとしては今後も この仕事は真摯に継続していく所存だ。

改めて申し上げるが、どんなクルマを選択するかは それを求めるユーザーの考え方、
意志による。  どちらも正しい選択だと思う。
ウチはウチとしての道を歩む。
Lotus Elise Sport 220

尚、今回の Elise Sport と Sport 220 については、下記のサイトに詳しいので参照されたし。
クルマは 12月に まずはヨーロッパで販売が開始され、来年1月には その他の地域でも
リリースしていく予定だという。 日本で納車が可能になるのは、春先から夏頃にかけてか。
(今週、都内で Evora 400 の内覧会を、国内デーラー向けに行っている。
 私は既に、この3月に 現車を見てしまいましたがネ。)

でも どうしても今度の正月に自宅の玄関先に 220 Sport を用意したい人は、
早急に(一週間以内に)相談してみて下さい。
何とかしてみようと思います。  Britishgreenyokohama@gmail.com
但し、ロータスが予定通りにデリバリーしてくれればの話ですが。

thelotusforums.com/lotus-cars-news/new-elise-sport-and-elise-sport-220/
lotuscars.com/elise-sport-220
youtube.com/watch?v=Rht1fRFIbkY  [Video]

そんなワケで、今後とも どうぞよろしく。

Lotus Elise Sport 220