2016年2月4日木曜日

Ultima "Evolution" and Crossle 9S

   Photo ; British Green Yokohama  Click to enlarge  )

これは ジネッタではない。  たまたま Birmingham の展示ブースが隣り合わせただけだ。
Ultima Sports。 ウチでは過去に3台を国内登録しているが、日本には 恐らく10~15台程度が
生息すると想われる。 多分、全部が車検登録している。 30台以内か。

Ultima Sports Ltd.  1992年に Ted Marlow と Richard Marlow によって創業したが、
彼らは それ以前からレース等の活動を行っていた。
当初から、Ultima Sports(Coupe)と Ultima Can-Am(Spyder)をリリースしている。
2005年からは GTR バージョンを追加、GTR640 と GTR720(720hp)を販売、
現在は 今回 バーミンガムで目撃した レンジ・トップの "Ultima Evolution 1020(1020hp)" を
世に送り出す。 Ultima の語源である "Ultimate" は、"最高、究極" を意味する。

そして GTR 以降は、主に Chevrolet small-block V8 と Porsche Transaxle を使用、
エンジンは、アイオワに隣接するイリノイ州・Moline の American Speed が用意する。
現在のモデルは "Ultima Evolution" を名乗り、基本15グレードものエンジンが選択できる。
www.amerspeed.com/cgi-bin/showultimaengines.cgi

そのトップエンドが 今回の 6.8-liter・supercharged V8 / 1020bhp で、 0-60mph を 2.3秒、
最高速 380km/h、0-100mph-0 を 8.8秒、standing 0-400m は 9.2秒でクリアする。 Wow ..... !!
価格は £95,000 + から。 日本で登録すれば 売価は2500万円位だろうか。
見積もりについては、当店に問い合わせされたし。
しかし、この性能でこの価格は 決して高価とも言い難く、同類他車では まずムリだろう。

今回は 内容の割に地味な展示スペースだったが、本来が小規模な会社だから良しとしよう。
そもそも英国で、 この手の会社を外見だけで判断するのは妥当ではない。
かって ウチが20年以上前に計4台を輸入した Safir Engineering が製造する Ford GT40 は、
同社を訪れた際に案内された場所は路地の奥に在って、まるで 馬小屋の様なところだった。
価格は当時のレートで、約4000万円。 その後 社長の自宅にも出向き、中古車も購入している。

"馬小屋" で視たのは 殆んど本物と言ってよい新車の GT40 で、フォードから正式に版権を
引き継ぐ。 車体は もちろんパイプ・フレームなんかではなく、オリジナルと同じ鋼板モノコックだ。
フレームナンバーは、フォード自身が生産した 最終の GT40 の続き番号で始まり、
Laguna Seca のクラシックカー・レースで、オリジナルの GT40 と一緒に走ることが許されるものだ。

英国を侮(あなど)ってはいけない !  彼らは とんでもない所で、とんでもないモノを造っている。
今回のレーシングカー・ショーも、毎回 パーツ・セクションの展示は充実度が抜群で、
会場全体では 東京モーターショーの2倍近い規模でやっているのだから。





  さて、もう一台 !!


Northern Ireland(北アイルランド)製の "Crossle 9S" である。
イギリスの正式な国名は "United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland"
つまり Crossle は英国製のレーシング・スポーツだ。 昨年は英国本土にもデーラーを置いている。

日本では あまり馴染みがないが、Lotus や Ginetta とほぼ同時期の1957年に創業する。
創業者の Dr John Clossle(MBE)は、2014年8月末に亡くなったが、
その前の1997年に 、Clossle でレースをやっていた Arnie Black に会社を売却した。
Arnie はさらに 2012年、石油系企業の役員でもある Paul McMorran に売り渡している。

この状況は 現在のジネッタによく似ている。
現行のジネッタ社は レース中心の全く別の業態で、且つ 10倍以上の規模で運営するが、
McMorran は従来の規模と業態を ほぼ踏襲したまま会社を引き継いでいる。 いいかも。
私は Arnie と McMorran に 2年前のこの会場で30分程ミーティングを持ち、今でもメールを頂く。
ここ2~3年 想うのだが、このビジネスを続けるに当たっては、相手の会社の社長やスタッフとの
コミュニケーションを保つ事が 如何に大事なことかを痛感する次第だ。

クルマは ロータス23に近似するが デザインは非常にスタイリッシュで、エンジンや駆動系も
同時代のセオリーを引き継ぐ。 ロータスというブランド好きの日本人には あまり知られないが、
"9S" はもっと注目されるべきクルマである。 日本には1~2台あるのか !?   見たことがない。
別途用意される "9S HTP" は いわゆる Continuation Car で、クラッシックカー・レースでも
認知されており、やはりオリジナルと同列で走ることが出来る。

9S は今でも新車で入手することが可能だ。  しかも、創業当時からのオリジナル・メーカーである。
来年で60周年か。 素晴らしいことだ。
9S は イギリスでは公道登録されたケースもあり、日本でも 何とかなりそうだ。
以前 ロータス23で英国のカントリーサイドを走った事が有るが、
小気味よくシフトが決まり、気持ちいい~ !  そのままサーキットに直行 !!

現在の Crossle は そこそこ高価だが、ロータスに比べてクォリティーも良く、
何よりも新車だから、50年前の23より 壊れずに楽しむことが出来る。
オリジナル23は 既にヴィンテージの域にあり、そこそこのコンディションでも 遠からず2000万円
の声を聴くようになるハズだ。エラン・ヨーロッパも今のうちに買っておいた方がいいかも知れない。
でもオリジナルとはいえ、当初のコンディションを保つのは至難のワザだ。

だから、......... Crossle にしよう !!



見よ、この美しさを !!  ロータス23を超えている。
pistonheads.com