2013年11月23日土曜日

Subaru for Le Mans !?

 [Pic. Racecar engineering]
RTUスバルLMP

今月12-14日に 独ケルンで開催された "Professional MotorSport World Expo 2013"。
スロバキアの首都、Bratislava に本社を置く RTU(Revolutionaly Technologies United) は、
チーフ・エンジニアの Albert Solaroli を中心に、SubaruFA20DIT のスタンダード・ブロックを
ベースに エンジンをモデファイし、通常は2リッターのサイズを ショートストローク化で1.6リッター
にサイズダウン、ルマン・プロトタイプに供する550馬力ターボ・エンジンを開発して 公開した。
エンジンの自重は 130Kg だ。

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RTU Facilities

RTU は、1991年に起業したエンジニアリング会社で、英国のZytek 同様、レース分野の
テクノロジーに精通し、彼らが "Pseudo Adiabatic " と呼ぶ パテント技術を応用して
今回開発した "eLMP R " エンジンは、低温燃焼により クーリングの負荷が非常に少なく、
安定したエンジン・マネージメントが可能となっている。
既に同技術は アウディ・5気筒で 800馬力を確保し、実証済だ。 [Reference]

しかし、今回 スバル自身が どこまで開発に介入し、単にベース・エンジンの供給元に
徹したのか、RTU が勝手に(!?)いじくってみたのか、それとも より積極的にレース参戦まで
考えているのか等々、いまのところ それらについてのコメントは無い。
願わくば チームを率いてレース活動までして欲しいものだが、まあ ムリすることは無い。

期しくも 来季から F1も 1.6 リッター・ターボの時代を迎える。 恐らく 800馬力を優に超える
だろうが、今回のRTU のエンジンは ノーマル・ブロックがベースなので 比べるべくもない。
でも 今後は より高度なチューニングを施し、Subaru 自身で 本格的なレース参戦も目論んで
欲しいものである。 
ま、F1エンジンの開発は かなり困難な課題だが、特にアマチュア・レースやキットカー向けに
RTU の様なエンジンを 正式に新品で 供給してもらえれば、楽しいクルマが出来るだろうに !!
それとも、RTU に頼んで 380~400馬力程度にディ・チューンしてもらうか !?

余談だが、かってスバルは 80年代末から90年にかけて F1 に参戦することを夢見た。
コンストラクターではなく、エンジン供給というカタチで フラット12 のF1エンジンを開発した。
私は 群馬の某所で このエンジンを目の当たりにしているが、あまりにもラフな仕上がりに
正直、首をかしげたのを記憶する。
但し 完全な自社開発ではなく、イタリアのビルダーに依頼したのだが、それがそもそもの
間違いだったという結果になってしまった。 (このエンジンは 当時、童夢にワコールが賛同し、
メイドイン京都のスーパースポーツに搭載して 画期的な車が誕生するはずだった。
この際、来日していたジネッタの社長・M. Phaff が私に、"これから京都に行って 童夢が
開発する Jiotto Caspita の企画に相乗りするかどうか話し合いに行くんだ " と漏らして
いたが。 ....... 余談でした。)

さて、スバルの水平対向 ボクサー・エンジンは、低重心コンパクト 且つ低コストで、
スポーツカーやレースカーのベース・エンジンとしては とても興味深いものでである。
イギリスやアメリカのキットカー・メーカーも数多く採用していることだし、
なによりも そのメリットを生かし、特に ミッドシップの特異なスポーツカーを創ってもらうと
面白いクルマが出来るだろうから、今後も期待したいところである。
[Subaru Boxer Engine]

RTUスバルLMP