2013年12月9日月曜日

"Sound of HONDA" and Dream

Original Telemetry Data produced by Ayrton Senna in 1989[Pic. the fumichronicles]

1989年の Suzuka、 Japanese GPの予選Q2 に於いて Ayrton Senna は、
当時の最速ラップタイム、分38秒041 を叩き出した。
HONDA は 86年から実戦に投入した Telemetry System で、その時のセナが走行中の
エンジンの回転数やアクセル開度、マシンのスピード等々を逐一 記録、解析している。
そこには 例の "セナ足" の動きまで、克明に記録されていた。

"ホンダのテレメトリー・システムは、走行中のクルマから採取する、今だと多分200を超える
データをクルマから無線で送信し、それをワークステーション上で分析する技術だ。

これにより ドライバーやエンジニア達は データを見てブレーンストーミングをし、
それを各々が共有して レース中 即時にデータを反映、そのレースで最速を期するために
対処できるものだ。 セナも ピットに戻ると すぐにコンピュータの画面を見て、
彼がラップ中に どの様な動きをしていたかを 自身で常にチェックしていたという。

これらの解析と努力により、当時の "McLaren-Honda" の栄光の足跡がもたらされた
と言っても過言ではないだろう。

テレメトリー・システムは 其の後 Moto GPでも 使用されており、必須アイテムとなる。
また、ホンダが開発したビジネス機 HondaJet のテスト・フライトにも、データを監視する遠隔測定システムとして機能している。

そして今年 ホンダと電通、及び Rhizomatiks は 当時のデータを元に、各々の部門の
コンビネーションで、"Sound of HONDA / Ayrton Senna 1989" を制作、
24年たった今、再現したデータから セナの最速ラップの足跡を、実際の鈴鹿サーキットの
コース上に スピーカーとLEDを配置し、光と音で 正確無比に表現した。


"Sound of HONDA / Ayrton Senna 1989"

これは 本年の 第17回文化庁メディア芸術祭でエンターテイメント部門の669応募作品の中
大賞を受賞し、この5日 発表された。
もともとは、ホンダ独自のインターナビ のプロモーションに供するため作られたコンテンツだが、
その手法が話題になっている。

さて その手法とは、完璧に整備された McLaren HONDA MP4/5 の実車に
バッテリー駆動の狭小レコーダをオンボードに設置、その最速ラップ1周分のエンジン音を
"採取"、更にコース上を走行する MP4/5 に 超指向性マイクを向けて録音、
これらの音源は MOTU Digital Performer でコントロールし、記録媒体に保存する。
また、テレメトリーで記録されたセナの走行データのチャートも、ホンダの元レースエンジニアが
が分析、スタッフによってデジタル化された。
セナの最速ラップが記録された このテレメトリーの紙片は、本田技術研究所の保管庫の奥で
眠っていたものが 今回 発見されたものだ。

これらのデータをもとに、89年当時のレース中に録音された音と比較・調整し、
全てがマッチングされ、最終的な走行音が合成されて 今回の画面上に挿入された。

また、LEDの光は セナのテレメトリー・データをもとにサーキットの図面と照合、
openFrameworks により LED ライトの必要な個数を割り出し、それをコントロールする為、
"Max MSP6" でシュミレータを作製、結果 LEDは 10メートルおきに設置することになる。
LED の制御は、LANケーブルを介して Art-Net Protocol により、その拡張は
"NV-600LM/RM " のモデムで行われた。 また全てのネットワークは 低コスト化して、
通常の電話ケーブルと CAT6 Lan Cableで接続している。

一方、LEDに合わせる為に コース上に無数に配置されたスピーカーだが、
その一個一個から放たれる音のパルスは 短く区切られたもので、その瞬発力に適した
"Funktion-One" のスピーカー、RES5 とRES4、F218、IB218モデルが選ばれ、
更にそれをサポートする為、"Meyer" の MSL-4 Line Array が使用される。
そして個々のスピーカー間の音の連続をロスなく 滑らかな音の流れになる様、
IRCAM (Institut de Recherche et CooordinationAcoustique / Musique)からの技術を
応用している。

最新の技術を駆使して完成した "Sound of HONDA / Ayrton Senna 1989 "。
大賞の受賞作品展は、他部門の受賞作品と共に来年2月5日~16日まで、
六本木の国立新美術館(the National Art Center, Tokyo) で開催される。 [Maps to NACT]

[Click this photos↓ ]
[Soichiro Honda with Senna]