に於いて、明暗を分ける事態が起こっていた。
ひとつは 3月初めの ジュネー・ブショーで目撃した SCG003 (Scuderia Cameron Glickenhaus)。
James Cameron Glickenhaus の用意した Road & Racing である。
003C と 003S の2台が この VLN に参加し、レースは Grand Prix コースと Nordschleife
(北コース)を併せたコースで行われてたと思うが、そこで イエローの 003C は 8分12秒台で
走行していた。 SCG によれば 北コースのみのタイムで換算で、約6分42秒を叩き出していたと言う。
これは 規制された馬力と、他のクルマとの車重をバランスさせる為に バラストを積まされていた
結果なのだが、もし その規制が無い 黒のロードリーガルの003S で、しかもストリート・タイアで
いいから北コースのタイムアタックをすれば、6分30秒も可能だろうと Grickenhaus は豪語した。
もし そうであれば、かって Radical SR8LM(6:48)や Pagani Zonda R(6:47)の記録をも塗り替える
新記録の達成になってしまう !! 物凄いポテンシャルだと言わざるを得ない。
いつの世も、覇者は必ず現れる ! ........ 。
さて、此処で伏線がある。
その日 黄色の 003C と カーボン肌の 003S は、6番手と18番を走行していたが、
間もなく 当該レースの騒音規制をオーバーしているという理由で、2台とも黒旗を降られてしまう。
VLN のSound limit は 130ds(デシベル)だったのだ。
しかし "爆音" ではなかったから、いずれ対処できるレベルだろう。
そして更に 明と暗の "暗" の方だ。
当日、同じレースを Nissan NISMO GT-R / GT3 が走っていた。
何周目か知らないが、同車が 北コースの4Km 地点、Flugplatz のコーナーに差し掛かる
直前の 例のジャンピング・スポットを超えた瞬間、GT-R は頭をもたげて ほぼ垂直になったまま、
正面のコーナー・フェンスに突っ込み、観客一人が死亡するという大事故を引き起こしてしまった。
もちろん レースは赤旗中断の後、終了することに為った。
http://blackflag.jalopnik.com/nissan-gt-r-reportedly-flips-into-spectator-area-at-nur-1694239772
通常この現場では、車体の浮き上がりを防止する為に、ジャンピング・スポットの直前で
アクセルを抜く、もしくはブレーキを充てるのが "常識" らしいが、それなりのダウンフォース
を有する GT カー は、踏んだまま通過してしまうこともある様だ。
003C も、一瞬フロントを浮かしている。
www.youtube.com/watch?v=b5ZT2KFYY2U
もちろん、NISMO GT-R がそうしなかったかも知れない事が 事故原因の全てではないにせよ、
事故の原因は ドライバーの力量、風の影響など、複合的な要因による結果であろう。
しかし どんな理由にせよ、観客のいるところに突っ込むのはマズイだろう。
事の重大さを鑑み、翌29日に DMSB(ドイツ・モータースポーツ連盟)はGT3 と GT4 を含む
SP & SP・Pro-X、SP7、8 及び SP8T、SP9、10 のカテゴリーで、
事故の原因究明が終わるまで、北コースの走行を禁止する措置をとった。
歴史的にも レースの世界で、事故の無いレースを行うのは 不可能に近い。
少なくとも 今後、観客を巻き込まない為の手段については 最善の策を考えるべきであろう。
さて、SCG003 の話に戻る。
3月初めのジュネーブで、初めて衆目の面前に姿を現した SCG003 は、印象的と言うのを
遥かに超えていた。 3日間 ショーに通い詰めて、多分 私はこのクルマの前に 都合3時間以上
佇んでいたと思う。 いや、もっとか。 写真は このクルマだけで200枚以上をカメラに収めた。
それくらい、何か感じるものがあったのは確かだ。 ニュルで 記録的な走りをしたと聞いて、
あっ、やっぱりオレの見る目は 間違ってなかったと思ったものだ。 Woah ........ !
挙句の果てに Grickenhaus 自身と "歓談" を試みたが、来客で忙しい彼は捕まらず、
代わりにと言っては失礼だが、このクルマのプロジェクト・リーダーである Paolo Garella に
展示のバックヤードで 30分近く話を交えた。 ついでに このロードリーガルを売るとしたら
いったいいくらなのと 尋ねたところ、返事は € 2million だと言われてしまった。
日本円で 約2億6000万円か。 まあ、あまり売る気は無いに違いない。
でも どうしても お願いと言えば、造ってくれるだろう。(欲しい人は ウチに ご相談下さい。)
日本で どうだと言われたが即答出来ず、お茶を濁すしかなかった。 いい経験でした。
5月中旬には Nurburgring 24H も始まる。
当然 Grickenhaus は、このレースと6月の Le Mnas に出走することを考えているだろうが、
その前に 北コースの記録の樹立を試みるかも知れない。
これからも Jim(Grickenhaus)のことは 目が離せない !!