2015年4月15日水曜日

The Bright and Dark Sides of Nurburgring

The SCG 003 Was Too Loud To Race On The Nürburgring
              
3月28日(土)、ニュルブルグリングで行われた VLN(ニュルブルクリング耐久シリーズ)
に於いて、明暗を分ける事態が起こっていた。

ひとつは 3月初めの ジュネー・ブショーで目撃した SCG003 (Scuderia Cameron Glickenhaus)
James Cameron Glickenhaus の用意した Road & Racing である。
003C と 003S の2台が この VLN に参加し、レースは Grand Prix コースと Nordschleife
(北コース)を併せたコースで行われてたと思うが、そこで イエローの 003C は 8分12秒台で
走行していた。 SCG によれば 北コースのみのタイムで換算で、約6分42秒を叩き出していたと言う。

in Geneva

これは 規制された馬力と、他のクルマとの車重をバランスさせる為に バラストを積まされていた
結果なのだが、もし その規制が無い 黒のロードリーガルの003S で、しかもストリート・タイアで
いいから北コースのタイムアタックをすれば、6分30秒も可能だろうと Grickenhaus は豪語した。
もし そうであれば、かって Radical SR8LM(6:48)や Pagani Zonda R(6:47)の記録をも塗り替える
新記録の達成になってしまう !!  物凄いポテンシャルだと言わざるを得ない。
いつの世も、覇者は必ず現れる !  ........ 。

さて、此処で伏線がある。
その日 黄色の 003C と カーボン肌の 003S は、6番手と18番を走行していたが、
間もなく 当該レースの騒音規制をオーバーしているという理由で、2台とも黒旗を降られてしまう。
VLN のSound limit は 130ds(デシベル)だったのだ。
しかし "爆音" ではなかったから、いずれ対処できるレベルだろう。

そして更に 明と暗の "暗" の方だ。
当日、同じレースを Nissan NISMO GT-R / GT3 が走っていた。
何周目か知らないが、同車が 北コースの4Km 地点、Flugplatz のコーナーに差し掛かる
直前の 例のジャンピング・スポットを超えた瞬間、GT-R は頭をもたげて ほぼ垂直になったまま、
正面のコーナー・フェンスに突っ込み、観客一人が死亡するという大事故を引き起こしてしまった。
もちろん レースは赤旗中断の後、終了することに為った。
http://blackflag.jalopnik.com/nissan-gt-r-reportedly-flips-into-spectator-area-at-nur-1694239772

通常この現場では、車体の浮き上がりを防止する為に、ジャンピング・スポットの直前で
アクセルを抜く、もしくはブレーキを充てるのが "常識" らしいが、それなりのダウンフォース
を有する GT カー は、踏んだまま通過してしまうこともある様だ。
003C も、一瞬フロントを浮かしている。
www.youtube.com/watch?v=b5ZT2KFYY2U

もちろん、NISMO GT-R がそうしなかったかも知れない事が 事故原因の全てではないにせよ、
事故の原因は ドライバーの力量、風の影響など、複合的な要因による結果であろう。
しかし どんな理由にせよ、観客のいるところに突っ込むのはマズイだろう。
事の重大さを鑑み、翌29日に DMSB(ドイツ・モータースポーツ連盟)はGT3 と GT4 を含む
SP & SP・Pro-X、SP7、8 及び SP8T、SP9、10 のカテゴリーで、
事故の原因究明が終わるまで、北コースの走行を禁止する措置をとった。

歴史的にも レースの世界で、事故の無いレースを行うのは 不可能に近い。
少なくとも 今後、観客を巻き込まない為の手段については 最善の策を考えるべきであろう。

さて、SCG003 の話に戻る。
3月初めのジュネーブで、初めて衆目の面前に姿を現した SCG003 は、印象的と言うのを
遥かに超えていた。  3日間 ショーに通い詰めて、多分 私はこのクルマの前に 都合3時間以上
佇んでいたと思う。 いや、もっとか。  写真は このクルマだけで200枚以上をカメラに収めた。
それくらい、何か感じるものがあったのは確かだ。 ニュルで 記録的な走りをしたと聞いて、
あっ、やっぱりオレの見る目は 間違ってなかったと思ったものだ。 Woah ........ !

挙句の果てに Grickenhaus 自身と "歓談" を試みたが、来客で忙しい彼は捕まらず、
代わりにと言っては失礼だが、このクルマのプロジェクト・リーダーである Paolo Garella
展示のバックヤードで 30分近く話を交えた。 ついでに このロードリーガルを売るとしたら
いったいいくらなのと 尋ねたところ、返事は € million だと言われてしまった。
日本円で 約2億6000万円か。 まあ、あまり売る気は無いに違いない。
でも どうしても お願いと言えば、造ってくれるだろう。(欲しい人は ウチに ご相談下さい。)
日本で どうだと言われたが即答出来ず、お茶を濁すしかなかった。 いい経験でした。


Lowie Vermeersch and Paolo Garella

5月中旬には Nurburgring 24H も始まる。
当然 Grickenhaus は、このレースと6月の Le Mnas に出走することを考えているだろうが、
その前に 北コースの記録の樹立を試みるかも知れない。
これからも Jim(Grickenhaus)のことは 目が離せない !!