2015年7月26日日曜日

2020 Olympic Games coming soon !?

Zaha Hadid design for Kasumigaoka National Stadium, Tokyo.

このところ "新国立競技場" の施工予定金額について、世間では何かと悪いイメージで
取沙汰されている件につき、一言(ひとこと)私見を述べておきたい。

2012年に始まったデザイン審査の際、同年11月の二次審査に於いて、Zaha Hadid の設計案を、
建築家・安藤忠雄氏が委員長を務める "国際デザイン競技審査委員会" の
10名の審査委員からなる 委員会の総意として 決定した。
この時点では 予算規模は 1300億円と言われていた。

その要因としては、国家プロジェクト としてスタートした この案件は、
"1300億円の予算""80,000人の収容規模"、 "スポーツ以外にも コンサートなどの
文化イベントを可能とする可動式屋根" 等が当初から前提条件として提示 されており
且つ 2019年のラグビー・ワールドカップに間に合わせるという 非常にタイトなスケジュールが
求められていたのだ。 発注者は "日本スポーツ振興センター(JSC)" である。
(さあ、誰が責任者か ? 国家プロジェクトだぞ !!  舛添都知事のいう事は、もっともだと思うが。)
tokyo2020.jp/jp/organising-committee/officers/

1300億円という数字は この時点で明示されていたが、
その根拠については、未だ説明されていない(と思う)。

さて、安藤氏が座長を務める 上記 "国際デザイン競技審査委員会" が関わったのは ここ迄である
その後、設計チームとして選ばれた(誰が選んだのか ? )日建設計、日本設計、梓設計、
アラップが 2013年6月から "基本設計" の作業を開始、翌2014年5月に それが完了した。
国内トップクラスの設計会社が選ばれたのである。

この "基本設計" における実現可能金額が 1625億円だ。
これを見て安藤氏は、消費税増税や物価上昇に伴う工事費の上昇は理解出来るとするも、
基本設計以降の "実施設計" で明らかになるコストや それ以外の大幅なコスト・アップについては
承知していないと述べている。 当然だろう。

1625億円は、"選ばれた" 設計チームが算出した金額であり、更に消費税や物価の上昇に
ついても、この時点で当然 予想されていたものであるハズだ。
1300億円は 希望的目標値 に過ぎない。

試しに 1300億円で どんな施設が出来るのか、1300億円をを実施設計の数値として
シュミレーションしてみればいい。 多分、皆んなが ガッカリするようなモノしかできないだろう。
それを 世界に向けてお披露目すると どうなる ? 
 "あ、日本って こんなもんなんだ ! "  という期待外れの言葉しか聞こえてこないだろう。

さて、当初の希望的予算・1300億円は、現実的な状況に照らし合わせた結果、1625億円
となった。 此処までは 普通の話である。(でも、1625億円は基本設計による金額で、
より現実的な 実施設計 の金額ではない。 当然、実施設計の金額は もっと高くなる。)

でも、マスコミや世間は あくまで 1300億円にこだわっている。 しかし それは素人考えだ。
しかも、"基本設計" 終了の9ヶ月近く前に、東京にオリンピックが来る事は決定してしまった。
つまり、発注者である "日本スポーツ振興センター" も 国家としても、あとに退けない事態に
なっていたのだ。   www.youtube.com/watch?v=97s4LYbDe4U
www.olympic.org/news/tokyo-2020-formally-establishes-organising-committee/222091

Official Emblem 2020

そして その後、現時点での予想額は 何故か "2520億円" と言われるようになった。
当初の1300億円と、この2520億円については、いったい どこの誰が算出した金額なのか、
いまだ明示されていないと思う。 多分 これは明示できないのだ。
国が絡み、ゼネコンが絡み、"日本スポーツ振興センター" が絡んでいるハナシだ。
個人名は 出てこない。 ...... 出せないだろう !

(実は、我々が 英国製の少ロット・スポーツカーの新車を輸入した場合、国内登録する為には
 国土交通省の関連機関の "ブレーキ・テスト" 受けねばならず、その費用は 約120万円を
 請求される。 ブレーキを踏むだけで、なんで120万円も払わなければいけないのか。
 しかも、我々の輸入するクルマは、そんじょそこらの国産の新車より、遥かに短い制動距離で
 "安全に" 止まることが出来る。 更に 安全のために装備した 4点、6点式のシートベルトでは
 車検が通らない。 わざわざ 3点式に着け代えなければならない。 何なの、これ !?
 しかも これらに対する明確な説明は無い。 余談だったか !?)

安藤氏も、"(何故 2520億円になったのか) 私だって知りたい !! "  と言っている。
世界中で、アイコニックな建築物を数多く手掛けてきた プロの設計屋である 安藤氏が
認識できるのは、1625億円までだ。

さあ、マスコミと世間は、これらに対してどう "説明する" のだろうか !?
多分、"素人" には 説明できないだろう。 役人のみぞ知る

さて、此処で 私の "私見" を述べることにする。
まず、1625億円は ギリギリの金額である。 しかも まだ実施設計以前に提示された金額だ。
現実的には 更に金額が膨らむのは必至で、そこまで想定すべきことである
だから、ざっくばらんに言って、2000億円程度が現実的な金額だと 私は考える。
そして まさかの金額、2520億円は、英知を持ちより 2200億円までは削減できるだろう。
よって、これが 私の考える 実際の "現実的な" 金額である。

なぜ私が 此処までエラそうに言うかというと、私なりの根拠は 次のような経験を踏まえてのもの
だからだ。 昔 私は、当時としては その分野で そこそこの規模の再開発事業をやったことが有る。
今から25年前に完成した ある私鉄沿線の駅前再開発事業に、発注者グループの一員として
係わったことが有った。 25年前の事だ

約3000坪の駅前の敷地を 一旦更地にして 大型スーパーを誘致し、住宅公団(現 都市再生機構)
を参加させ、東京都の助成金を得て "第一種市街地再開発事業" を完成させた。
話を始めてから 15年以上の歳月を要した。

当時は 大店法(大規模小売店舗法)が存在し、大型スーパーの誘致には 周辺Km圏内の
商店会の同意を得なければならず、隣の駅周辺まで含まれるので そのハンコを貰う等 大変だった。
出店を希望するスーパーの担当者と一緒に、周辺16ヶ所の商店会の会合に顔を出し、
商店会の同意を取り付けるべく 頭を下げた。
同時に、出来上がる商業施設のテナント・ミックスの為、出店希望の飲食店やファミレス、
ハンバーガー・チェーン等、世間で名の知れた殆んどの会社の担当者とも 面談した。

さらに、竣工後の施設管理を担当する会社の選別の為、それらの会社が既に管理をしている
千葉と長野駅前、松本駅前等の商業施設を 急ぎ私単独で散見しに行き、
トイレの清掃や清潔感、そこで使用していたタイルのサイズまでも含む施設の管理状況を比較し、
その不備などを指摘して計画に反映させた。 外壁で使用する予定のタイルについては、
九州の有田焼の工場も見学し、その出来上がりの質感を確認している。

この時の予算は当初 約100億円規模だったが、途中でバブルがはじけ、最終的には150億円
が必要となり、その金額で完成を見た。 いまだったら、軽く500億円を超える事業だったと思う。
この設計企画は 上記 株式会社日本設計 が行い、ゼネコンの熊谷組 が施工を担当した。
この際 私は、発注を希望する 殆んど全ての大手ゼネコンとの交渉にも参加している。
当時、私鉄沿線での駅前再開発としては 最大規模だったと認識する。
計画の発案から施設の完成までに、数百回の会議とミーティングを重ねて その内容を精査した。

それが、今回の国立競技場は、地権者が ほぼいないことを鑑みても、
これ程の大規模施設に関わらず、計画から完成まで僅か5~6年で完成させなければならない。

だから 今回の競技場建設は、それなりの規模と技術的な難易度を考えれば、
2000億円位までは 決して高い数字ではないと 私は考えている。

それよりも ここで予算を削って、中途半端でつまらない建築物を1500億円程度で造るよりも、
あと 500億円足して インパクトのある物件を造った方が、遥かにいい結果を招くだろう。
500億は 後で元は取れる。 日本の創造的な競技場施設としてシンボライズされるだろう

余談だが、毎年 大型のレース・イベントが開催される米国の Daytona Inetrnational Speedway は、
来年1月、その改築が終了し、101,500人規模に増設される。 40基のエスカレーターも備える。
新国立競技場も、8万人と言わず10万人収容できる施設として考えても おかしくない。
時代は先取りすべきだ。   [Daytona Hospitality]   [Maps / Daytona]

参考までに、大型のコンサートが行われる会場として ロンドンの Wembley Stadium は有名で、
数々の歴史的コンサートが行われている。  [Maps]
www.youtube.com/watch?v=w_tu0KaaOVg&list=RDw_tu0KaaOVg#t17  [Queen 1986]
www.youtube.com/watch?v=jv9WdItXRLE   [Dire Straits 1988 / Full]
この他にも Elton John や ピンク・フロイド、U2 等々、錚々たるグループの演奏が行われた。
Pink Floyd は、全世界で これまでに3億枚近いアルバムやCD を売り上げている。

初代 Wembley Stadium は、1923年に出来上がっていた。 当時の建設費は 75億ポンド。
現在のスタジアムは改築され、90,000人が収容でき、2007年に完成している
サッカーの聖地と言われる。  その 10年近く前の建設費は、約1500億円
新国立競技場は 2000億円でも、今や 世界的に見ても 決して高いものではない。

さらに、スペイン・バルセロナの "Camp Nou" スタジアムは、1957年に93,000人規模で完成し、
これから間もなく改修が始まる。 6億ユーロ(約830億円)をかけて改築し 2021年完成予定で
105,000人規模の屋根付き競技場 に変貌する。 現在でも 既にヨーロッパで最大なのに。

ロンドン・ウェンブリーは 既に30年以上前から、これらの大規模なイベントが行われてきた。
コンサートや それを演奏するクループや観客の熱狂する度合いは、
今の日本でさえ 考えも及ばないレベルだ。 スタジアムは駅に隣接し、Hilton や Holiday Inn 等の
メジャーなホテルも備わっている。 今回の(屋根付きの)新国立競技場が出来て初めて、
日本は やっと30年前のイギリスに追いつくことが出来るだろう。
日本はスゴイんだなんて 勘違いしてはいけない

この様な使い方以外にも、可動式の屋根を持つ施設は、様々な使い道が考えられる。
500~700億円の予算オーバーでも、10~30年のスパンでの経済効果を考えれば、
十分に もとは取れる。 それ以外にも 遥かにいい結果を導くに違いない。
[経済効果 試算 : みずほ総合研究所 / 2013年9月]

さらに余談だが、私は かって早稲田大学の建築科の学生相手に、"都市の景観とデザイン" について
2時間の講義をさせてもらった事がある。
たまたま、既知の建築家・丸山欣也氏(米国 MIT の客員教授もしていた)の発案で、
横浜市役所の都市デザイン室長とも顔見知りになり、実現したものだ。

私は このクルマの仕事をするにつけ、イギリスやアメリカを かなり 隈(くま)なく視てきた事で、
日本との圧倒的な差異 を目の当たりにするにつけ 都市の景観に興味を持ち、
建築や(インテリア)デザインの本を読みあさっていた。(特に ニューヨークのロフトには関心が有る。)

さて、これらを鑑みると、そもそも 国家プロジェクトである 関連施設を含む新国立競技場が、
たった 1300億円で、短期間で どうやったら完成することが出来るのか !?
素人である私が考えても、ムリだと思う。 1300億円は、全く 非現実的である
でも 世間は(素人だから)、1300億円という 多分、あまり根拠のない数字にこだわっている。
むしろ 安藤氏の言う事は、まともな話だ。

そして "私見" だが、"予算オーバー" を理由に、ありきたりの、しかも インパクトの無い
普通の競技場しか造れない日本を見て、世界は どう評価するのか、考えてもみたまえ。
世界は 日本に期待している。 且つ 日本も 期待に答えるだけのチカラは持ち合わせているハズだ。
全く 曖昧(あいまい)な 世論とマスコミに押し流されて、中途半端な施設を "1300億円" もかけて
造ってしまっていいんですか ...... ?   それこそ 無駄使いだろう !!  よ~く 考えた方がいい。

そんなことでは 多分、オリンピックが終わった後、そこから派生する経済効果は 大したことない。
F1 だって、トップクラスのチームは 毎年 5~600億円は使っている。
(PS ;  各チームの今年の予算が明らかになった。 上位3チームは いずれも600億円を超す。
 Red Bull と Mercedes は ほぼ同額で 640億円前後。3位の McLaren-Honda が 636億円。)

今後、孫の代まで使おうとする施設に、2000億円が払えない日本だったら、
やめてしまった方がいい !  調布にある 味の素スタジアムでやればいいじゃないか !
多分、日本人からもブーイングが起こる。 甲州街道(国道20号)は一ヶ月以上 マヒするだろう。
それこそ 理想としている1300億円が "ムダ使い" になる事は目に見えている。
勘違いしてはいけない。 マスコミと世論が 全て正しいワケではない。 どちらも "素人" だ。

今回のハナシは、多少のムリを承知で やるべき事だろう !?  これが 出来ない日本では、
これからも 大したことは無い。 若者は日本を見限って、海外の新天地に移住した方がいいよ。
あとは 我々 年寄りが 何とかするから。  どうせ 死んじまうんだし。
(若者は 日本に居る限りは、死ぬほど働くべきだ。 でないと 君たち若者の将来は無い。)

以上、私の "私見" でありますが、  ........ ,  さあ、どうする !?