2012年8月15日水曜日

GT40 P/1074 : this Monterey


1937 Rolls-Royce Phantom III Aero Coupe by Classic Auto Rebuilding Service

今週末、17日(金)~18日(土)に モントレー・ Portola PrazaConference Center
にある Portola Hotel & Spa で開催される "RM Auctions" に、
2台のオリジナル GT40 が登場する。   [Map]

それは2台共、 レアな個体に違いないが、Lot No.139GT40 は、
1967年に Mirage / M 10003 として制作され、レースに投入された"異形" GT40だが、
68年のレギュレーション変更により、やむなく本来の GT40 の形に造り直されるも、
その後のレースでは善戦し、BOAC500 やモンツァ1000Spa1000等で勝利をあげる。
他のGT40 と異なり、本来の鋼板モノコックの一部、主にコクピット廻りを中心に
アルミ・ストラクチャーに改装され、軽量化を図ったものだ。
シャシーNo; GT40 P/1074 として登録され、John Wyer Automotive の手により、、
JWA / Gulf チームのクルマとして活躍する。

今回のRM の解説によると、Mirage #10003P/ 1074 になったとしているが、
諸説では #10002 がベースとなったクルマであるという向きもあるので、
さて、どちらが正しいのか ご教示を仰ぎたい。

            [Mirage ; Motorsportretro]  Click ↓
Chris Shipton Ford GT40 Mirage

Gurney Waslake のシリンダー・ヘッドを備えた Ford 289 スモール・ブロックV8 は、
ツインチョーク・ウェバーを与えられ、足廻りは、フロント 8.5、リア 11.0 インチの
BRM ホィールを履き、フェンダー・アーチも拡大された。  Gurney Waslake Heads

70年になって、フロリダのDavid BrownJWA から購入、その年の5月には、
スティーブ・マックィーンの Solar Production貸し出されて、マックィーンが
プロモートした "Le Mans" (栄光のル・マン) のカメラ・カーとして使用されている。
リア・セクションに固定されたカメラを、ダッシュボードのTVスクリーンを見ながら
リモートコントロールしたが、ルーフとリアを大きく改装した為、240Km/h を超えると
クルマ自体のコントロールが難しかったという。 改装自体は JWA が監修した。
余談だが、もう一つのレーシング・ムービー "Grand Prix" でも、#1027GT40
カメラ・カーとして使用された様に記憶する。       Movie 1  Movie 2

#1074 は 撮影が終わった後、イリノイ州の Harley E. Cluxton が購入、
更に 72年、英スタッフォードの著名なコレクター、Anthony Bamford が入手する。
その時期、クルマは Derby Willie Green によって レストアがおこなわれ、
初期のドア・ユニットに交換したり、リア・アーチも、ノン・カーボンのFRP に戻して
"スタンダードな GT40" に落ち着いた。 ドアの取っ手にもこだわった。
Green は、英国内のレース・イベントで幾くたびとなく出走している。

83年になると、件の Cluxton が買い戻し、その後89年には Watkins Glen で、
GT4025周年イベント、94年に Elkhart Lake で、30周年のイベントをこなして
2000年前後(?)に、現オーナーの手に渡ることに。 2002年にも 微細な変更を
行い、2003年のGoodwood には、Jackie Oliver の手でドライブし、
その健在ぶりを示している。 今は フランス国内に生息し、オーナーの手で、
ほぼ完璧な状態に保たれているという。


今回出品される #1074 は、その超レアな生い立ちから、オークションでは、
億円を超える価格が予想されており、フェラーリ 250GTO とともに、
この世界で最高位にランクされるものだ。

さて、オークションには、もう一台のGT40、車台番号 GT40 P/1059
出品される。
こちらは GT40 の第一世代、Mk 1 で、ロードカーとして計31台造られたうち、
20台が 66年にアメリカに渡り、内6台がシェルビー・アメリカンに引きとられた。
これは その中の一台である。 元色は定かでないが、此の時に現在と同色の
白とブルー・ストライブに塗り分けられている。
そして、デトロイトのフォード・ディーラー、Stark Hickey Ford のショールームに
移動する。ここで数年を過ごした後、NY ・ロングアイランドのデーラーの
Herb Wetanson の所へ行く。 彼は レストランも経営し、
おそらく GT40 への入れ込み方は執拗で、一時 6台ものGT40 を保持した。

そして、次に(?) ビンテージ・カーのコレクター、Dr. Jack Frost が買い取り、
2002年に 現オーナーの手に渡るまで、20年以上も この #1059 を手元に
置いた。 GT40 のオーソリティー、Ronnie Spain によれば、
此の P/1059 は、GT40 の個体の中でも5000マイル弱の走行距離で、
オリジナルGT40の中でも、かなりのロー・マイレージだと言う。
ちなみに オークションでの予価は、千万~千万円位らしい。

昔、ウチが LA から Safir GT40 を初めて買い付ける際に、Spain に電話をし、
クルマの素性を確認したことがある。 其のころはまだ、GT40 についての知識も
ままならず、同時進行で ラグナ・セカを走っていた Scuderia Fillipinetti の赤GT40
のオファーも有ったのだが、約20年前の当時で、8000万円の価格を申し渡されたので、
晩 真剣に考えた末、お断りした。 あまりにも重荷だった。
今となっては、このビデオの個体だったかどうかは、詳細を思い出せない。

おかげで その後、順調に(?) 英国 Safir の社長、Peter Thorp から一台の中古と
二台の新車を順次買い取った。 社長の自宅に拠った際、彼の自家用車の
古いフォードのセダンが 動かなくなったので、彼は おもむろにボンネットを開け、
細い鉄パイプで オルタネーター付近を引っ叩いたら、動き出した。
数千万円のGT40 を造っている社長のクルマでも こんなもんだ。
これが イギリスのスタンダードだ。 愛すべきは イギリスである。

余談が続いた。 失礼しました。
さて、#107417日金曜日に、#105918日土曜日のオークションに賭けられる。
各々、夕方 6:00 からスタートし、10時頃に終わるだろう。
内見は、今日15日から始まり、オークション当日の日中も可能だ。$50 で入場できる。
また、ビッダーになるには、$300 で カタログを受け取り、二人分(?) のチケットで
内見も出来るし、レセプションに参加して旨いモノも食わして貰える。

ま、例年の事だが 月のこの時期、ラグナ・セカのレース、 ペブル・ビーチ、
モントレーのオークション等 盛りだくさんで、飽きることはない。
昔は、モントレー湾で、自然のラッコが泳いでいるのを見かけたが、
今は どうだろうか ? フリスコに行けば ピアで でかいオットセイが お出迎えだ。
イベントが終わったら、次の週は ナパに行って、カリフォルニア・ワインを堪能し、
サウサリートに戻って、シーフードをつつくのも良い。 もっといい所があるが、内緒だ !!

ゴールデンゲート・ブリッジは、是非、歩いて渡るのがいい。 爽快。
風で帽子を飛ばさない様に気をつける。 でも、それも いい記念になる。
自分の帽子が、サンフランシスコ湾に漂っていると想えばよい。
運悪く アルカトロスに漂着したら、残念賞だ。

今、フリスコ辺りでこのブログを見ている人は、まだ間に合うから行けばいいし、
今年はムリでも、来年は是非。 いまから来年の計画を思い浮かべるのも
また楽し。 鬼は笑わない !?

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